古典的条件づけとオペラント条件づけを理解するその1生得的なものと習得的なもの。

みなさん、こんにちは。
Global.plusWanのこにたんです。
今回は、古典的条件づけとオペラント条件づけを理解するためのポイントですが、これを理解するために必要な「生得的なもの」「習得的なもの」についてお届けします。

私たちを含む動物の学習や行動を決める

私たち人間を含めた社会性の高い動物には、生まれ持つ「生得的な行動」と社会生活の中で育まれる「習得的な行動」があります。これらはその個動物の性格や気質として私たちは見ています。
「○○はこんな性格だから」とか「○○さんは下町気質が強い」「○○さんは怒りっぽい」などと表現します。このような表現は個人の行動や考え方、発言によって決まってきます。改善したり変わっていったりする場合もあれば、ずうーっと変わらない場合もあります。

この場合は、個人とか個体によるもので「個」となります。要するに「いぬはすべてこういう行動や性格である」「人はすべて同じである」という「群」のものではないということです。

「生得的なもの」

いぬも人も「血の流れ」があり、両親からさまざまなものが受け継がれていくものです。「顔(もしくは性格)が父親に似ている、おじいちゃんに似ている」というのは、その最たるものです。これを「遺伝」と考えます。いぬやねこの場合も同じで、突然出現したりはしません。ちゃんと両親がいてその両親のなんたるかを受け継いでいるのです。これを「生得的なもの」として考えます。

この「生得的なもの」は、遺伝情報として子孫に受け継がれていきます。ということは、遺伝子に組み込まれているので、後から変えるということができません。親に似ている顔を(後から)変えることはできないということで、死ぬまでそのままです。

また「生得的なもの」は、その動物の行動や学習にも反映されます。いぬの行動には「吠える」「なわばり」「排泄」「危険回避」「集団防衛」「種の保存」などがあり、ほぼすべてのいぬが持っている行動で「本能」と言われるものです。この本能行動は、動物種によって異なりこれを「習性」と言います。
この習性行動は、動物種によってさまざまです。「狩る」側の動物では、捕食行動が強化され、「狩られる」側の動物では、天敵回避行動が強化されています。

「生得的なもの」はこの他に、「無条件反射」や「走性(向性)」があり、学習を伴わない行動も含まれます。

「習得的なもの」

社会性が高い動物が生きていくには、社会(群れ)との協調性が重要となります。この協調性を保ちながら生きていくためには、「生後の環境」や「置かれた状況」から学習して行動することとなります。
この「生後の環境」「置かれた状況」から学習したことを「習得的なもの」と言います。

この「習得的なもの」を獲得するためには、「生得的なもの」が欠かせません。なぜかというと「個」を形成するものとなるからです。「生得的なもの」は動物種としてもっているものとその動物が「血の流れ」として受け継いでいくものでできているからです。それを元にして「習得的なもの」として学習が進んでいき「個」を育んでいくのです。

動物において学習により覚えていく行動では、生活の中にあるいろいろな刺激(音やモノ、人や人の動きなど)やいろいろな経験、いぬが置かれている環境など様々なことが影響していきます。

「習得的なもの」を動物が学習していくときに、重要な行動概念が「馴化と鋭敏化」「刷り込みと社会化」「観察学習」です。これは動物がどのように学習したかを知る手がかりとなる行動です。

○馴化と鋭敏化

この「馴化」「鋭敏化」は、その動物の性格に大きく影響していきます。

「馴化」とは、ある事柄(刺激)に対しての反応(吠える、振り向く、逃げるなど)していたものが、その事柄に何度も遭遇(暴露という)することで、次第に反応しなくなることです。
いわゆる慣(馴)れてきて、次第に反応しなくなることです。

「鋭敏化」とは、ある事柄(刺激)に対して反応(吠える、振り向く、逃げるなど)していたものが、その事柄に何度も遭遇(暴露という)することで、より強く反応してしまうことです。
この「鋭敏化」が強すぎると、動物に対してストレスが大きくなり「トラウマ症状」となり、危険な状態に陥ることがあります。

○刷り込みと社会化

「刷り込み」と「社会化」は、「落ち着くこころ」を育むために必要な概念です。

「刷り込み」とは、基本的には生後の早い段階で多く経験した事柄(刺激)に対して、追従したり愛着を示したりする行動のことです。多くの場合「親」を認識するしくみと言われ、ある一定の期間に刷り込み学習が起こると、特別なことがない限り消えることはなくずっと続くものだと言えます。

「社会化」は動物にとって、特に社会形成をする哺乳動物にはとても重要です。その動物の感覚能力と運動能力がある程度備わってくると、同種動物や他個体との関係を形成する時期が来ます。この時期のことを「社会化期」と呼び、この時期にあらゆる事柄(刺激)、同種動物や他動物と触れ合うことがその動物の成長に影響を及ぼしていきます。

動物が生後まもない時期にあらゆることを経験することは、その後の成長に影響を及ぼしていくのです。

今回はここまで。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
こにたん。
感謝。

投稿者: globalpluswan

高校を卒業後、民間の警察犬訓練所に見習い訓練士として入所。その後独立し、犬の繁殖と家庭犬のしつけトレーニングを行う。1994年にテリーライアン女史に出会うことにより、理論的なしつけトレーニングの重要性を痛感し、ボジティヴレインフォースメント(陽性強化すなわち正の強化による学習)によるトレーニング法を中心としたしつけを実施し、北陸(福井、石川、富山)を中心に動物病院、ペットショップなどでしつけ教室を定期的に開催する傍ら、ペットの専門学校での教務全般に関わりながら、学生に犬のしつけに関する講義を行っている。また、動物愛護事業にも行政と連携を図りながら活動している。そして、インターズーから出版される「新版犬のしつけ学」の著者でもある。 ・JAHA(公益社団法人動物病院協会)認定家庭犬しつけインストラクター ・一般社団法人ふくい動物愛護管理支援センター協会元代表理事

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