ルールを学んで、社会性を育てるヤングプログラム

若いいぬの飼い方教室。

生後6ヶ月を越えるようになると、とてもエネルギッシュになり様々な刺激に反応して「吠える」「捕まらない」「呼んでも来ない」「走り回る」などの少し困る行動が増えてくるものです。お散歩など外へ出る機会も増えてくると、対外的に「吠える」ことは大きな問題となります。飼い主さんも「いい子に育てなければ」と焦ってしまう時期でもあります。
また、犬種による違いも鮮明になってきます。いぬは全世界で800種を越える言われるぐらい犬種がいます。いぬという種がこれほど増えたのは、私たち人間のせいです。私たちの生活に役立つ特性を持たせるために、牧羊犬種では俊敏さと洞察力が高められ、猟犬種では獲物を追い詰めるために吠える行動を強化されていたりするのです。
いぬが6ヶ月を超える頃には、社会への対応能力を高めるための教育が必要になります。「鉄は熱いうちに打て」という例えがあるように、まだ成長過程のこの時期に「規律のある教育」を飼い主さん自身で行う必要があります。また、教育は焦ってするものでもありません。じっくりとゆっくりと「いぬと向き合うこと」が必要で、これから長いいぬとの暮らしを考えながら「教育」を考えていくことも大事なのです。

ヤングプログラム

生後6ヶ月を過ぎるといぬは飼い主さんとの関係を重視します。

この頃のいぬは、飼い主さんの存在がとても重要になっていますが、いぬは生得的に犬社会の中に飼い主さんを引っ張り込もうと必死です。
そこで必要なのが、人社会で生活が無理なくできるように教える必要であるため、教育する必要があるのです。

教育といってもどこから始めればいいのか
いぬの教育は「言って聞かせる」ということはできません。飼い主と一緒に行動する中なら教えていくことのなります。
いぬの習性行動から、遊びながらルールやマナーを身につけていきますから、いぬの遊びは飼い主と一緒にするものだと思いましょう。
キーワードは「遊び=楽しく」

いぬが考えている遊び
・おもちゃやボールを追いかける、咥える(かじる)、引っ張る
・歩き回る、走る
・飼い主の手を咥える(噛む)、ズボンの裾を引っ張る

※生得的に とは、もって生まれた行動特性や気質などで多くの場合「本能」とか「習性」などと言います。

◯飼い主が「いちばん大好き」と思わせる

飼い主との関係性を強化する
いぬは生得的に「服従性に富んでいます」とはいえ、なにもしなければ服従性もへったくれもありません。いぬの服従性を刺激するためには「命令」が必要です。
ただし「強要とか強制」はだめです。いぬも私たちと同じように学習する動物であり、学習の過程には精神的なものも存在します。

生後6ヶ月からの飼い方

① 生後6ヶ月を過ぎるといぬは飼い主さんとの関係を重視します。

いぬは、成長と共に学習能力が飛躍的に向上します。身体の成長も一段とおとなに近づき、それに伴って行動もこいぬの頃のような行動とは違ってきて、ひとつひとつに自信を持って行動するようになります。これは、それまでの生活の中で「飼い主さんとの関係性」や「置かれている環境」、「自身の行動特性(性格)」などを合わせて学習してきた結果の表れとなります。例えばドアチャイムに反応して吠える行動がありますが、この行動は飼い主さんの動向や音への反応性と関連性を学習して、次第に吠えるようになってくるというシステムの中で起こるのです。また、甘噛みだった噛む行動も上手に対応できていれば減ってくる行動に対して、しつこく噛む動作をするのであれば飼い主さんとの関係性に不満があることを意味しています。特に6ヶ月を越えてくると飼い主さんへのストーカー行為もエスカレートしてくる時期でもあります。このような行動は、飼い主さんとの関係を重視していることにほかなりません。

② いぬの不妊処置(避妊手術と去勢手術)について。

 いぬも6ヶ月を過ぎると身体も成長してきて、性成熟を迎えるようになります。いわゆる思春期を迎えるのです。この時期は特に異性を気にする時期に入るため、お散歩に出た際などにはしきりに周りの匂いを嗅ごうと躍起になっています。いぬはマーキングという行為をします。この行動は、周辺の相手(特にいぬ)に対して自身の存在を示すという意味があります。特にメスは、性成熟を迎えると排尿と同時にオスを誘惑するフェロモンを分泌すると言われています。このフェロモンにオスが触れるともう大変で、この匂いの根源を探し回りいたるところにおしっこをして回るようになるのです。このような行動は、メスでも起こります。いぬと快適な生活を送る上で大切なことは、飼い主さんが暮らしやすいようにしていくことです。そのためには、いぬのこうした欲求を抑え込もうとするのではなく、自然な状況の中で欲求を起こさせないようにすることであり、不妊処置はこの効果を発揮することができる一つの方法なのです。不妊処置の効果には、将来起こりうる病気を予防することができたり、精神行動上の抑制を図ったりする効果もあるもあります。

規律ある教育1「お散歩でできること。」

 いぬのしつけ教室に通う理由はいろいろとあると思いますが、多くの場合「飼い主のいうことを聞いてほしい」ことだと思います。では、どのようにしていくと飼い主のいうことを聞いてくれるいぬに育てることができるのでしょう。

○いぬには名前があります。

 いぬを飼い始めると最初に名前をつけると思います。この名前はとても大事なもので、いぬのこころを育てる点においても大切です。名前は日常で声をかける回数も多く、いぬの反応もそれぞれですが、名前を呼ぶと飼い主に注目するように日々取り組んでいくことが大切です。

○いぬが飼い主に注目するように。

 いぬとの生活で楽しみなのは「お散歩」です。チワワのような小型犬でもお散歩は必要です。お散歩は飼い主との絆(関係性)を深めていくためにも大切なアイテムなのです。お散歩に行くときにはリードを付けていくもので、このリードをいぬにつけたら「名前」を呼んでごほうびを一つ与えるようにしましょう。

○1日4回お散歩に出るようにしましょう。

 いぬとのお散歩は1日4回行くことで絆が高確率で深まります。どのくらいの時間行くのがいいかは家庭の状況にもよりますが、上手に時間配分を考えて実施してみることを考えてみましょう。この4回のお散歩はいぬにリードを付けたり外したりする回数が4回あるということです。これは確実ないぬとのコミュニケーションがとれる時間なのです。

○「歩く、止まる、名前、ごほうび。」

 いぬとのお散歩でやるべきことがあります。まず、ごほうび(フード)の準備が必要です。5mmほどにしたいぬの大好きなフードを10個準備します。
さぁお散歩に出かけましょう。そこですることがありますので次のようにしてみましょう。

歩く;

いぬと一緒に歩きはじめて、10歩~20歩あるいたところで、いぬには何も声かけずに立ち止まります。

止まる;

立ち止まったら姿勢を良くしましょう。いわゆる「気をつけ」の姿勢です。その際リードを引き戻さないように自然に止まった感じにしましょう。

名前;

いぬの名前を1回もしくは2回呼びましょう。この時いぬが振り向くまで呼び続けないように。最初の段階では、いぬが振り向くということはあまりありません。

ごほうび;

いぬの名前を呼んだらこちらを見なくてもごほうびを与えるようにします。大事なポイントは「名前を聞くとごほうびが出てくる」といぬに思わせることです。

この方法は、いぬに学習のきっかけを作ることができますし、いぬの大好きなフードが飼い主の手から出てくることを学び、次第に飼い主の手を見るようになるのです。

○お散歩に関連すること

お散歩に出るには、いろいろと関連した事柄があります。

▷首輪やハーネスをつける

いぬに首輪やハーネスをつける、もしくはリードをつけることが何より大変な作業です。落ち着かず暴れて噛んでくることすらあります。
・首輪やハーネスをつけたら「名前、ごほうび」;たいへんだと思いますが、首輪やハーネスをつけることができたら、毎回「名前、ごほうび」を実行しましょう。
・リードをつけたら「名前、ごほうび」;そして、リードをつけたら「名前、ごほうび」を実行します。首輪やハーネス、リードをつけることは、次第にひとつの流れという動作になりますので、最終的にはリードをつけたら「名前、ごほうび」だけにできるようにしましょう。

▷玄関ドアの出入り

屋内から屋外へ出かけていくため玄関ドアの出入りもあります。この時ドアを開けたら「いぬが早いか飼い主が早いか」の状態になります。

・ドアの前で「名前、ごほうび」;玄関ドアを開ける前にしっかりと立ち止まって「名前、ごほうび」を実行しましょう。いぬにごほうびを与えたらドアを開けて外に出ましょう。この時いぬが早く外に出ても気にしないでください。まだ、最初なのですからすべてを上手にできるようにしようなどとは思わないように。少しずつ上達させていくものですから。そして、ドアの外に出たらドアを閉めて(鍵をかける場合もあるかな)もう一度「名前、ごほうび」を実行しましょう。お散歩から戻った時も同じようにやってみましょう。

✴このお散歩での一連のエクササイズは、いぬへのしつけ教育の導入段階です。上手くいく場合もあれば、うまくいかない場合もあります。焦らずじっくりと取り組んでみてください。
✴「名前、ごほうび」というキーワードは、いぬの学習のきっかけとなります。

いぬのモチベーションを向上させるために。

モチベーションとは。

 モチベーションとは、一般的に「やる気」のことです。いぬのしつけには、この「やる気」が飼い主にもいぬにも必要です。人はこのモチベーションを上げていく方法がいくつもあり、言葉やプレゼントなどの物質的なもの、これをやり遂げればなど精神的なもの、いつもやっていることなどの習慣性のもの、人との関わりなどがあります。いぬは、結果が楽しいこと嬉しいことにつながるようにしていくことが大事で、フードやおもちゃ、飼い主との遊びや言葉など物質的なものがありますが、もう少しがんばってみようとか飼い主が喜ぶからなど精神的なことが「やる気」の向上につながることはあまりありません。

○飼い主の行動にメリハリを。

飼い主がリードを持つと異常に興奮するいぬがいますが、これは「楽しいお散歩」と「リードを持つ」という飼い主の行動が関連付けられて、モチベーションが上がりますが、これは飼い主の動作がいぬのやる気のスイッチになっています。

✓ナイロン袋のガサガサ音や冷蔵庫のドアを開ける音
おやつの袋を開ける音は「おやつがもらえる」ことを連想させる音です。この音を立てるといぬは目を輝かせて飼い主のところにやってきてオスワリをするかもしれませんね。冷蔵庫のドアを開ける音も同じ効果をもたらします。

○「楽しい・うれしい」を連想させよう。

飼い主から発せられる「ことば」には、感情を高ぶらせたり、行動を起こすきっかけになるなど、いぬにとって大きな力(効果)があります。強いことばはモチベーションを低下させる可能性が高いため、反面、優しいことばは、感情を高めて表情や行動を促す効果と関係性を強くしてコミュニケーションの向上が期待できるのです。

規律ある教育2「いぬと楽しむこと。」

 生後6ヶ月を越えたいぬは、とにかくエネルギッシュです。好奇心や警戒心も旺盛となり、やんちゃで生活における様々な問題も生まれてきます。いぬとの暮らしで大切なことは、上手にコミュニケーションを図ることです。いぬの気持ちを理解する上においても重要なコミュニケーションはどのようにアップさせていけばいいのでしょう。

□いぬとおもちゃで遊ぶ。

 いぬは遊びが大好きですが、遊ぶ相手も必要です。要するに一人遊びではなく飼い主も巻き込んだ遊びが大好きなのです。
1.飼い主が管理するおもちゃ;いぬと遊ぶためには、おもちゃを飼い主が管理することも必要です。各家庭にいぬのおもちゃは数個から十数個あると思います。そのおもちゃの大好きランクを決めましょう。このランクの上位4つを飼い主が管理するおもちゃとしましょう。飼い主が管理するおもちゃとは、飼い主といぬが一緒に遊ぶためのおもちゃですので、常はどこかいぬの届かないところに置いておきましょう。
2.飼い主が管理するおもちゃでいぬと遊ぶ;いぬとの暮らしにおいては、様々な場面でいぬが「遊んでほしい」と飼い主の前におもちゃを咥えてやってくることがあります。この時いぬは遊んでほしいと思っています。このいぬの気持ちは尊重しましょう。ただしいぬが持ってきたおもちゃでは遊ばず、飼い主が管理しているおもちゃを出してきて、投げたり、引っ張りっこをして、いぬと楽しく遊びましょう。飼い主が管理するおもちゃで遊ぶ利点は「始まりと終わり」を飼い主が決めることができます。遊びを終わる際にはいぬからおもちゃを取り上げて、「はい、おしまい」とするのです。
3.よいおもちゃと悪いおもちゃゲーム;いぬが遊んでもいいおもちゃを5つほどと、スリッパやリモコンなどいぬのおもちゃではないもの3つほどを一箇所にまとめて置きましょう。そして、いぬに自由に取りに行かせましょう。スリッパやリモコンなどいぬのおもちゃではないものを持ってきたら、すぐに取り上げていぬの届かないところに置きましょう。この際にいぬを叱りながら取り上げないことと取り上げたあと、いぬにグチグチ言わないことがポイントで、自然に取り上げてください。いぬが遊んでもいいもちゃを持ってきたら、大喜びしながらいぬにいっぱいほめ言葉をかけながらそのおもちゃを取り上げてすぐ投げたり引っ張りっこをしたりして大いに遊びましょう。

いぬのおもちゃにしてはいけないもの;いぬは「いたずら」が好きな動物です。特に噛んでもらっては困るものほどターゲットになります。
・スリッパや靴
・リモコンや携帯電話、めがね
・掛けてあるタオル
・洗濯物(靴下など)
・ティッシュ
・テーブルの上にあるもの  などなど

いぬはこのようなものを咥えて、わざわざ飼い主の前を通り過ぎていきます。これを見た飼い主は、「あっ」とか「こらー!」とか言いながらいぬを追いかけるというサイクルが続きます。この時どんなに叱ってもほぼ直りません。なぜなら、いぬの思っている通りなのですから。いぬにトレーニングされている飼い主という構図になります。

生活の中で必要なものを「ボロボロ」にいぬがしたからといって、いぬに与えてはいけません。ボロボロになったスリッパをいぬに与えてしまうと、新しいスリッパとの区別がつかなくなり、スリッパはおもちゃという認識になってしまいます。どんなものでも生活で必要なものは、いぬのおもちゃとして与えないように注意しましょう。

いぬとおもちゃで遊ぶ方法;おもちゃを投げて遊ぶ、引っ張りっこをして遊ぶ、じゃらして遊ぶ、おもちゃを利用して追いかけたり、追いかけられたりするなどいろんな遊び方がありますし、いぬの性格などによっても遊び方が違います。大切なことは「いぬも飼い主も楽しむ」ことです。そして、飼い主が管理しているおもちゃで遊ぶことで、「はいおしまい」と言って遊びを飼い主主導で終わらせることができるのです。

咥えたおもちゃの取り方;いぬとおもちゃで遊ぶ際に「問題」になるのが、咥えているおもちゃを離してくれないこと。基本的には「フードとの交換」で咥えているものを取り上げる方法を教えることです。よく「無理やり取ってもいいの」と聞かれますが、基本的に無理やり取ることになります。この時の言葉のかけ方が大事となり、「ダメ!出しなさい!」と強く叱るような口調はお勧めしません、優しい口調で「ちょうだーい、ちょうだい」と声をかけながら、取り上げていきます。こうすることで咥えてる力を和らげていきます。ここで強い口調で取り上げようとすると、いぬもそれに乗じて咥えている力を強くしてしまい、最終的には「唸る、咬む」という行動に移行してしまいます。

いぬのモチベーションをあげるごほうび。

いぬのごほうびはフード。

いぬのしつけ教室では、いぬのモチベーションを上げていくために「フード」を使います。ただし「ごほうび=フード」でありおやつとして与えるものではありません。ごほうびですので、意図した行動や動作をしたときに「いい子だね、それでいいのよ」という誉めることと同じような意味があります。

<ごほうびとして与えるフード>

ごほうびとして与えるフードは、いぬの大好きなものを5mmほどの大きさにして与えます。5cmのものを与えても、5mmのものを与えても効果は基本変わらないものです。そしてごほうびとして与えるときは、1粒与えるようにします。

<ごほうびとして使うフードを準備>

ごほうびとして使うフードは、「風味」の違うものを5種類程度準備しましょう。それぞれを5mmほどにして別々の容器に入れ「風味」が混ざらないようにします。こうすることによって新鮮味をを引き出すことができるのです。

<フードをランク分け>

ごほうびとして使うフードを、いぬの好きなもの順にランク分けしましょう。これには大きな意味があります。いぬにも嗜好性があり「まぁ好きなもの」から「むっちゃ好きなもの」まであります。いぬをよく観察して見つけていきましょう。

<フードを与えるタイミング>

ごほうびとしてフードを与えるタイミングは、「意図した動作をしたあと」が効果的です。学習は関連付けにより動作に反映されるもので、フードをもらった直前の動作と関連付けて学習していきます。簡単に言うと「オスワリしたらフード」という具合です。いぬに首輪をつける際に、オスワリさせてフードを与えてから首輪をつけるという流れでは、タイミングが違います。この場合は、首輪をつけたあとにオスワリをさせてフードを与えることの方が効果的に動作を覚えます。

規律ある教育3「ルーティンワーク」生活マナーの向上

短いようで長いいぬとの生活で、双方が快適に過ごしていくにはコミュニケーションをしっかりとることが大切です。いぬとコミュニケーションをとっていくポイントを挙げてみました。

□ルーティンワークとはルールを決めて繰り返し練習すること

いぬの学習をスムーズにすすめるために必要なことで、決まりごと(ルール)を作り毎回同じことをしていくことになります。

例えば、エサの時間にいぬに教えていることを考えてみましょう。オスワリさせてお手とおかわりをさせて最後にフセをさせたとします。回数を追うごとにその動作は定着して、エサを見せただけで何も言わなくても勝手にいぬがそのすべての動作をするようになりますね。

これはエサの時間に必ずその動作をさせるというルールを決めて毎回行った結果で、いぬはエサとその動作を関連付けて覚えた学習となるのです。

□「愛撫」によるコミュニケーション

いぬの身体全体をゆっくりと優しく触ることは、安心感を与えることができ、飼い主の側は安全だということ伝えることができます。ところが、いぬの身体に触るということはなかなか大変なことで、ポイントは「しつこく触らない」ことと、いぬの身体をパート分けして細かく触るそして「ほめる」練習をしていきましょう。

頭部を撫でる;「いぬの名前」を呼んでから頭頂部を3回撫でる、そのあとフードを与えることを繰り返して練習します。いぬの頭部には、頭頂部、耳、口吻、目というパーツがあります。いぬにとって耳と口吻は興奮しやすい部位となるため、ゆっくりと時間をかけて触られることに慣れていくようにすることが大切です。

背中を撫でる;「いぬの名前」を呼んでから背中を3回撫でる、そのあとフードを与えることを繰り返して練習します。

顎から下の前胸を撫でる;いぬの顎から下の前胸部分をエプロンと言いますが、この部分もゆっくりと3回触ったらフードを与えるようにしましょう。

前脚を触る;いぬの前脚の部分は、肩から足先に向かってゆっくりと3回触るようにします。できれば足先まで触れたら足先を握って少し持ち上げるようにしてみると、いぬの足先への敏感性を和らげることができます。ただし無理に触ろうとしないことです。

腹部を触る;いぬがオスワリをしている状態だとしっかりと触れないので、いぬを四肢で立たせる必要がありますが、基本的にはいぬの鼠径部に手を入れて少し上部に押すと四肢で立ちます。その状態を維持させながら腹部全体を3回触り、フードを与えます。

後ろ脚を触る;この部位もいぬがオスワリをしていると思うように触れませんので、四肢で立たせて触る練習をします。後ろ脚も大腿部から足先に向かって3回触ります。慣れてくると足先をそっと掴み少し持ち上げるようにしてみましょう。ただし決して無理しないようにすることが大切です。

しっぽを触る;容易なようで簡単ではない部位がしっぽです。日本犬やストリートミックスと呼ばれる日本犬ミックスは特にデリケートな部位です。ここもゆっくりと無理をせず、触る練習をしていきます。

愛撫によるコミュニケーションは、飼い主の気持ちを伝えることができる唯一の方法で、素手でいぬの身体のすべての部分を触っていけるように練習していきます。いぬが学習することが目的ですので、繰り返し練習(ルーティン)することが大切です。フードを与えることを忘れないように。

□お手入れによるコミュニケーション

どんな犬種であってもブラッシングを含むお手入れは欠かせないものです。この場合ブラッシングするための道具に慣れさせること、手入れをするためのタオルなどになれさせることが重要なポイントとなります。

✓飼い主の手;愛撫によるコミュニケーションは手で行うものです。いぬは飼い主の手に敏感に反応するものですから、手からフードを与える、いぬとおもちゃで遊ぶなど印象を良くすることが大切です。

✓ターゲットマット;「この場所でいいことが起こる」ことを認識させるために必要です。plusWanではお風呂場の前に置くような足ふきマットをお勧めします。そのマットの端にコームやブラシ、タオルを置きその横でいぬにはオスワリをさせる練習を繰り返して、マットの上で座ることを教えていきましょう。ブラシなどに反応する(気にする)ようであれば、最初は何も置かずにマットの上で座るように練習をしましょう。

✓コームやブラシ、タオルに慣れさせる;いぬのおもちゃになりやすいのがこの3点セットです。一つずつ慣れさせていく必要があります。

いぬは4歳までにどのような生活を送るかが「鍵」

いぬと快適な生活を送るために

みなさんもご存知と思いますが、いぬは学習を繰り返しながら成長していく動物です。人も学習を繰り返しながら成長していきますが、人とともに生活をしていくいぬは人社会の中で成長していくのです。学習には脳の機能が重要ですが、いぬの脳の機能は人とは違うのです。人のように学習するわけではないことを理解しましょう。

○いぬの習性(行動特性)を知ろう

いぬは「仲間とともに狩りをする動物」です。そのため仲間との連携が重要で、ボスの指示に従うという行動を確立しようとします。これがいぬの服従性を高めることができるのですが、ボスが存在しない状況になると自らがボスになるという行動をします。飼い主がいぬのボスになるためには、効率のよい教育が必要となってきます。ボスといっても絶対的な存在になる必要はなく、案内人のような存在になる必要があるのです。

○いぬの学習の仕方を知ろう

「こいぬ特集」の号にも書いてありますし、今回も掲載しましたが、人社会の中で快適に生活できるようにいろいろな社会化トレーニングを実施していきましょう。

○いぬとの関係性を向上させよう

これからのいぬとの生活を快適で幸せなものにしていけるかどうかは、いぬとの関係性にかかっています。
いぬは感情行動をする動物です。感情は喜怒哀楽を表現します。いぬのこの感情を飼い主がコントロールできるようになれば、いぬとの生活は快適になることを覚えてください。


いぬの生活マナー教室の案内

投稿者: globalpluswan

高校を卒業後、民間の警察犬訓練所に見習い訓練士として入所。その後独立し、犬の繁殖と家庭犬のしつけトレーニングを行う。1994年にテリーライアン女史に出会うことにより、理論的なしつけトレーニングの重要性を痛感し、ボジティヴレインフォースメント(陽性強化すなわち正の強化による学習)によるトレーニング法を中心としたしつけを実施し、北陸(福井、石川、富山)を中心に動物病院、ペットショップなどでしつけ教室を定期的に開催する傍ら、ペットの専門学校での教務全般に関わりながら、学生に犬のしつけに関する講義を行っている。また、動物愛護事業にも行政と連携を図りながら活動している。そして、インターズーから出版される「新版犬のしつけ学」の著者でもある。 ・JAHA(公益社団法人動物病院協会)認定家庭犬しつけインストラクター ・一般社団法人ふくい動物愛護管理支援センター協会元代表理事

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