いぬの吠える問題は改善できるか③

パート3

いぬの吠える行動を叱って止めさせること

Global.plusWanでは、飼い主さんといぬとの生活をより快適で楽しいものとなるように「教育」を通してよりよい関係を向上させるプログラムを実施しています。特に今回のテーマのように「吠える」という問題は簡単に改善するものではありません。

◇いぬを「叱る」こと

「叱ること=行動を止めること」ができなければ叱る意味はありません。もし叱っても行動を止めないのであれば、叱るのは止めて他の方法を模索しましょう。でもどうしても困る行動をすると叱ってしまいます。そこで、叱るときのポイントを示します。

▼わかるように伝える
止めさせたい行動を起こしたら早い段階(3秒~5秒)で飼い主は「ダメ!」「イケナイ!」「ノー!」など強い口調でいぬに指示を出しましょう。当然怖そうな顔つきをすることも必要です。

▼だらだら叱らない
「こらこら、だめよ~」「こんなときには吠えちゃだめ」など諭すような叱り方では効果はありません。「うちの子は言えばわかる」という方もいますが、多くのいぬには通用しないものです。

▼一喝する
「強い口調と短い言葉で」が大切です。いまの状況が良くないことを伝えるにはもっとも効果的な方法です。動物が危険な状況に遭遇した時一瞬で行動を変化させる効果と同じと思えばいいでしょう。

▼即座に行動を止める
叱ることで行動を即座に止めてくれなければ、その方法はうまくいっていないということです。

▼ストレスが大きくメンタルに影響を与える
叱ることは、叱る側と叱られる側があり双方にとってストレスになります。特に叱られる側のストレスは大きく、強すぎるストレスになると精神的な部分で影響があり行動全般に変化が生じる可能性があります。

▼学習するプロセスに当てはまりにくい
叱られた側は瞬間的な態度や行動の変化に対応しにくく、何かと何かを関連付けて行動を変えていくという学習のプロセスに当てはまりにくいため、再度同じような状況になったときに元の行動を起こすため「何回も叱る」ということが起こります。

▼驚愕反射による行動のフリーズ
叱るという行為は「大きな声で怒られる」ことによって叱られた側は「びっくりした~」というような驚愕反射を引き起こしたため行動が一瞬止まるものです。
これは学習ではなく、動物が持っている自然な行動(無条件反射という)なのです。

■叱ることと行動制御
叱るという事自体悪いことではありませんし、動物虐待でもありません。しっかりとこちら側は「叱っているんだ」ということを理解させていくことができれば、いぬは自身の行動を制御することを覚えるようになりますが、今回のテーマである「吠える」ことを根本的に「吠えなくする」ことはできません。いぬが吠えるような事象が起これば毎回吠えるでしょうし、毎回叱って吠えるのを止めさせることは続くと思います。

◇「叱られた=嫌悪刺激」なのか

叱られる事自体嫌なことです。できれば楽しく行動できることがいいのです。この楽しく行動することは、ややもすると「興奮」を伴った行き過ぎた行動に発展する可能性があります。人は常に「自制」しながら生活をしていますがこれを「理性」といいます。

■いぬは人社会における「理性」を持ちえません
いぬも自身で考えて行動をしますが、人のように周りのことを考えながら行動をしたりはしません。自分勝手に行動をします。まるで5歳程度の子どものように。そうなんです、いぬは5歳程度の衝動的行動をする動物であり、それ以上の行動制御をするようには基本的になりません。

■いぬは叱ることで理性を獲得するか
いぬを叱ることで行動が制御できればよいですが、何度も何度も叱らないといけないようでは叱るという行為が「興奮」という衝動行動を引き起こしていて、ますます吠える行動がエスカレートしてしまいます。いぬに理性ある行動を促すのであれば、やはり関係性の向上を重視したプログラムを実施するべきです。落ち着いたいぬに育てることができれば、飼い主に注目する度合いも向上して常に飼い主の言葉に耳を傾け指示を聞きやすくなっていきます。

■叱ることの副作用
叱るという行為はタイミングと強さがポイントとなり、実際なかなか効果的に成果をあげられず逆に副作用的な行動を誘発してしまうことになってしまいます。

○飼い主との関係を損ねてしまう
○学習性無力感を引き起こしてしまう
○臆病になったり恐怖や怒りなどの情動行動を起こす
○特定の人への嫌悪感
○特定の人以外の行動制御の不能
○減らしたい行動が増える
○いたずら行動が増える
○逃げることを覚える

このことから、いぬの情動行動や威嚇や攻撃行動に対して嫌悪刺激の使用は控えなければ取り返しのつかない事態を招いてしまう可能性が高くなります。

リレーションシッププログラム

◇いぬのこころを育てるトレーニングプラン
Global.plusWanの「いぬの生活マナー教室」は、飼い主さんといぬとの関係性向上のための教室です。いぬをじっくり観察しながら無理のないレッスンを提供しています。

■ぱぴいラーンプログラム
生後3ヶ月から5ヶ月までのこいぬのための教室プランです。トレーニングというよりこいぬの月齢で起こる行動の対処の方法や考え方や毎回トイレのしつけのポイント、甘噛み対処法、お散歩練習などを4レッスンで行います。

■ヤングプログラム
生後6ヶ月から10ヶ月までの若いいぬのための教室プランです。この月齢になるといたずら行動や感情からくる情動行動が顕著に発現する時期ですので、しっかりと飼い主との関係構築が必要となります。飼い主の指示をしっかりと聞くことを覚えていくための4レッスンとなります。

■ルールプログラム
生後11ヶ月以上のいぬのための教室プランです。飼い主との関係構築に加えて生活の中で起こる様々な問題点の改善を目指していくレッスンとなります。

投稿者: globalpluswan

高校を卒業後、民間の警察犬訓練所に見習い訓練士として入所。その後独立し、犬の繁殖と家庭犬のしつけトレーニングを行う。1994年にテリーライアン女史に出会うことにより、理論的なしつけトレーニングの重要性を痛感し、ボジティヴレインフォースメント(陽性強化すなわち正の強化による学習)によるトレーニング法を中心としたいぬの教育を実施し、北陸(福井、石川、富山)を中心に動物病院、ペットショップなどで社会化を中心とした生活マナー教室を定期的に開催する傍ら、ペットの専門学校での教務全般に関わりながら、学生にいぬの教育に関する講義を行っている。また、動物愛護活動にも行政と連携を図りながら活動している。そして、インターズーから出版されている「新版犬のしつけ学」の著者でもある。 ・JAHA(公益社団法人動物病院協会)認定家庭犬しつけインストラクター ・一般社団法人ふくい動物愛護管理支援センター協会元代表理事

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